ビジョンをコードへ: Architect Mode を作る

Architect Mode は、画面で見えている修正点を、AI のコーディング支援がそのまま実行できる仕様へ最短で落とすために作った。

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開発者はたいてい、何を作るかを正確に分かっています。詰まるのは理解ではなく、伝達です。

Cursor や Windsurf で UI を磨いているとき、直したい点は明確です。このシャドウは 2px ぼかしを足す、この余白は 4px 詰める、この hover は少し持ち上げる。必要な CSS も、設計意図も分かっている。

でもそれを全部タイプで説明するのが重い。どの要素か、どこにあるか、周辺文脈は何か。時間はそこに消えます。

Architect mode はその摩擦を消すために作りました。

問題: 文脈は打鍵コストが高い

典型例として、ボタンの見た目の重みを調整するケースを考えます。

Architect mode がないと、次のように書くことになります。

"冒頭のセクションに 'Get Started' と書かれた主要ボタンがあります。今は影が薄いので、もう少し強く、0 4px 12px rgba(0,0,0,0.15) くらいに。カーソルを乗せたときは translateY(-1px) で軽く持ち上がる動きも…"

2秒で指せる内容のために、60語以上使ってしまう。

解決: 指す、話す、実行する

Architect mode はスクリーンキャプチャと音声入力を組み合わせます。

  1. Option をダブルタップ -> オーバーレイ表示
  2. 対象を囲む(「どのボタン?」の曖昧さが消える)
  3. 意図を話す: "影を強め、カーソルを乗せると軽く浮上、200ms で滑らかに"
  4. Option を再度ダブルタップ -> 構造化 spec を生成

出力はそのまま実装可能です。

"Update the primary CTA button in the hero section: > - box-shadow: 0 4px 12px rgba(0,0,0,0.15) > - hover: translateY(-1px), box-shadow: 0 6px 16px rgba(0,0,0,0.18) > - transition: all 200ms ease-out > - Verify WCAG AA contrast ratio maintained"

Cursor にそのまま貼れる。整形不要、補足説明不要です。

実装上の難所

実装にはいくつか難題がありました。

1. Latency budget: マルチモーダル LLM(GPT-4V、Claude 3.5 Sonnet)は遅い。強めの画像圧縮と streaming response を入れて、操作感を保ちました。

2. Prompt precision: 初期は抽象的な提案が出やすかった。最終 system prompt(約300語)で、正確な CSS 値、コンポーネント特定、アクセシビリティ配慮を強制しました。

3. Context preservation: LLM は指した対象だけでなく、周辺デザインシステムも理解する必要があります。可視 UI から色パレットと余白パターンを抽出して文脈を補っています。

なぜ重要か

これは技術知識の代替ではありません。ビジョンと実装の間にある翻訳レイヤーを取り除くためのものです。

マイクロインタラクションや見た目調整に没頭しているとき、最後にやりたいのは「prompt を書くモード」への切り替えです。Architect mode は flow を維持します。

優れたツールは思考法を変えません。思考と実行の摩擦を減らすだけです。

これは宣伝ではなく、作りながら実際にはまった落とし穴の記録です。

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